2025.7.31更新
起業や新規事業の立ち上げにおいて、コストを抑えながら信頼性のある住所を確保できるバーチャルオフィスプランの利用が広がっています。しかし、多くの経営者が直面する課題の一つが、バーチャルオフィスを登記住所とした際の銀行口座開設です。
従来、バーチャルオフィスでの法人口座開設は困難とされてきましたが、適切な準備と戦略があれば開設は十分に可能です。
本記事では、バーチャルオフィスプランを利用しながら銀行口座開設を成功させるための具体的な方法と注意点について詳しく解説します。
◆目次
2.バーチャルオフィスでの銀行口座開設における審査厳格化の背景
2-1. 法的規制の強化
2-2. 不正利用事例の増加
3.バーチャルオフィス利用企業が口座開設を検討できる金融機関
3-1. メガバンクでの口座開設
3-2. 地方銀行・信用金庫での可能性
3-3. ネット銀行の活用
4.バーチャルオフィスで銀行口座開設を成功させる7つの重要ポイント
4-1. 詳細な事業計画書の作成
4-2. 資本金と資金計画の明確化
4-3. 必要書類の完全な準備
4-4. 事業の実態証明とホームページの整備
4-5. 代表者の信用度向上
4-6. 複数の金融機関への同時申込み
4-7. 専門家の活用
5.バーチャルオフィスでの銀行口座開設手順
5-1. 事前準備段階
5-2. 申込みプロセス
5-3. 審査期間中の対応
6.銀行口座開設に有利なバーチャルオフィスの選び方
6-1. 立地とアドレスの重要性
6-2. サービス内容の充実度
6-3. 法的コンプライアンスの確保
1. バーチャルオフィスプランでの銀行口座開設は実現可能

バーチャルオフィスを利用している企業でも、銀行口座の開設は決して不可能ではありません。近年の働き方の多様化やデジタル化の進展により、金融機関側もバーチャルオフィスに対する理解が深まってきています。
ただし、従来の実店舗を構える企業と比較すると、審査がより慎重に行われる傾向があることは事実です。これは、金融機関がマネーロンダリングや詐欺などの金融犯罪を防止する観点から、より厳格な本人確認や事業実態の確認を行う必要があるためです。
バーチャルオフィスであっても、しっかりとした事業計画と必要書類を準備することで、多くの金融機関で口座開設が可能です。実際に、多くの企業がバーチャルオフィスを利用しながら銀行口座を開設し、事業を成功させています。
2. バーチャルオフィスでの銀行口座開設における審査厳格化の背景

近年、バーチャルオフィスでの銀行口座開設の審査が厳しくなっている理由には、複数の社会的・法的要因があります。これらの背景を理解することで、適切な対策を講じることが可能になります。
2-1. 法的規制の強化
2008年に施行された犯罪収益移転防止法により、バーチャルオフィス事業者には厳格な本人確認と審査が義務付けられるようになりました。これにより、金融機関は顧客の事業内容や資金の流れについて、従来以上に詳細な確認を行う義務が課せられています。
また、国際的なマネーロンダリング対策の枠組みであるFATF(金融活動作業部会)の勧告に基づき、日本の金融機関も国際基準に準拠した厳格な審査体制を構築する必要があります。
とはいえ、バーチャルオフィスの利用自体は法律に反していません。安全性や注意点については、以下のコラムで紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
>>【法人登記も可】バーチャルオフィスは違法ではない!信頼できる業者の選び方や利用が難しい業種を解説
2-2. 不正利用事例の増加
バーチャルオフィスが犯罪目的で使用されるケースが多発したことで、取り締まりが厳しくなったと考えられます。
過去に、バーチャルオフィスを悪用した詐欺事件や不正な資金移動の事例が報告されており、これらの事例が金融機関の警戒感を高める要因となっています。このため、正当な事業を行う企業であっても、より多くの証明資料の提出や詳細な説明が求められるようになっています。
3. バーチャルオフィス利用企業が口座開設を検討できる金融機関

バーチャルオフィスを利用する企業にとって、金融機関選びは口座開設成功の重要な鍵となります。すべての金融機関が同じ審査基準を採用しているわけではなく、機関によって対応が大きく異なります。
一般的に、メガバンクは審査が最も厳格である傾向があります。一方で、地方銀行や信用金庫、ネット銀行の中には、比較的柔軟な対応を示す機関も存在します。
ただし、これらの情報は時期や状況によって変化するため、事前の問い合わせが不可欠です。
3-1. メガバンクでの口座開設
メリット | デメリット |
---|---|
・取引先銀行のネームバリューがあるため 会社の信用が上がる ・高額融資にも対応できる ・全国の支店を利用できる ・国外への振込にも対応している | ・口座開設までの審査が厳しい ・口座維持手数料が割高 ・振込み手数料が割高 (一部の都市銀行) |
三大メガバンクをはじめとする大手金融機関では、厳格な審査基準が設けられています。バーチャルオフィスでメガバンクの口座開設をするには、取引実績を証明できるかどうかがポイントとなります。特に、既存の個人口座での取引実績がある場合は、有利に働くことがあります。
メガバンクでの開設を目指す場合は、より詳細な事業計画書や財務計画、市場分析資料などの準備が必要です。
3-2. 地方銀行・信用金庫での可能性
メリット | デメリット |
---|---|
・特定の地域を中心に店舗展開されているため、該当エリアの事業者や地域コミュニティを把握している =地域密着型のビジネスの方にメリット大! ・都市銀行よりも親身になって相談にのってくれる傾向にある ・都市銀行に比べて法人口座を開設しやすい | ・利用できるエリアが限られている ・高額融資の際には、審査に時間がかかる ・信用金庫から融資を受ける際は、「従業員300人以下または資本金9億円以下」などの条件を満たし、「信用会員」になる必要がある。 条件から外れる場合は脱退しなければならない。 |
地方銀行や信用金庫は、地域経済の活性化を重視する傾向があり、地域に根ざした事業であれば比較的柔軟な対応を示すことがあります。特に、バーチャルオフィスが所在する地域の金融機関では、より前向きな検討をしてもらえる可能性があります。
これらの金融機関では、大手銀行ほど厳格ではない審査基準を採用している場合が多く、事業の社会的意義や地域貢献度も評価要素に含まれることがあります。
3-3. ネット銀行の活用
メリット | デメリット |
---|---|
・24時間WEBから振込み、決済が可能 ・インターネットバンキング手数料や口座維持手数料がかからない ・振込手数料が安価な傾向にある ・印鑑レスで手続きできる場合が多い ・比較的開設までのハードルが低い | ・店舗を持たない銀行が多く、対面での相談などができない ・取引先からの信頼度が低い ・インターネットの不具合やシステムメンテナンス時は利用自体ができなくなる ・ローン審査が厳しい |
ネット銀行は、バーチャルオフィスでも、比較的柔軟に対応してくれるところが多いとされています。
例えば、GMOあおぞらネット銀行では、ホームページで「バーチャルオフィスでも法人口座開設できる」と明記されているなど、デジタル化の進展により、物理的な店舗を持たない事業形態への理解が深まっているためです。
ネット銀行の利点は、手続きの多くがオンラインで完結することと、従来の銀行よりも手数料が安いことです。ただし、対面での相談ができないため、事前の準備がより重要になります。
参考:GMOあおぞらネット銀行
4. バーチャルオフィスで銀行口座開設を成功させる7つの重要ポイント

バーチャルオフィスでの銀行口座開設を成功させるためには、戦略的なアプローチが必要です。以下の7つのポイントを押さえることで、開設の可能性を大幅に向上させることができます。
4-1. 詳細な事業計画書の作成
金融機関が最も重視するのは、事業の実態と継続性です。
具体的で実現可能な事業計画書を作成し、収益モデルや市場分析、競合他社との差別化戦略などを明確に示しましょう。特に、なぜバーチャルオフィスを選択したのかの合理的な理由も説明できるように準備しておくことが重要です。
4-2. 資本金と資金計画の明確化
事業に必要な資金とその調達方法を明確にすることで、金融機関の信頼を得ることができます。初期投資額、運転資金、資金の出所などを詳細に説明し、財務の透明性を示しましょう。
4-3. 必要書類の完全な準備
口座開設に必要な書類を漏れなく準備することは基本中の基本です。登記簿謄本、定款、印鑑証明書、代表者の本人確認書類などの法定書類に加え、事業計画書や資金計画書なども用意しましょう。
4-4. 事業の実態証明とホームページの整備
ホームページがないと信用性に欠けると判断されかねません。業務内容や会社の実態もホームページを見る事で推測することができます。契約書、注文書、ウェブサイト、パンフレットなどの営業実態を示す資料が有効です。
4-5. 代表者の信用度向上
代表者個人の信用度は審査に大きく影響します。過去の事業経験、金融取引履歴、個人の信用情報などを整理し、必要に応じて改善策を講じておきましょう。
4-6. 複数の金融機関への同時申込み
一つの金融機関で断られても諦めず、複数の機関に同時に申し込むことをおすすめします。ただし、申込み状況を正直に報告し、透明性を保つことが重要です。
4-7. 専門家の活用
税理士や司法書士、金融コンサルタントなどの専門家のサポートを受けることで、申請の成功率を高めることができます。特に、金融機関との関係が深い専門家からの紹介は大きなアドバンテージとなります。
5. バーチャルオフィスでの銀行口座開設手順

バーチャルオフィスでの銀行口座開設は、通常の法人口座開設よりも慎重なプロセスが必要です。以下に、成功率を高めるための具体的な手順を示します。
まず、開設を希望する金融機関の選定から始まります。前述したように、金融機関によって審査基準が大きく異なるため、事前の情報収集が重要です。可能であれば、直接金融機関に問い合わせを行い、バーチャルオフィス利用企業の口座開設に対する方針を確認しましょう。
5-1. 事前準備段階
必要書類の準備は最も時間のかかる工程の一つです。
法定書類に加えて、事業計画書、資金計画書、営業実態を示す資料などを漏れなく準備します。特に、事業の実態を証明する資料は重要で、契約書のサンプル、ウェブサイトのスクリーンショット、パンフレットやカタログなどを用意しておきましょう。
バーチャルオフィスを利用する際にはバーチャルオフィス側から契約書を用意してもらえるのか、あらかじめ確認しておきましょう。登記住所や事業所の確認のため、バーチャルオフィスの契約書の提出を銀行から求められる可能性があります。
5-2. 申込みプロセス
多くの金融機関では、法人口座開設には事前のアポイントメントが必要です。
電話またはウェブサイトから予約を取り、担当者との面談日程を調整します。この際、バーチャルオフィスを利用していることを事前に伝えておくことで、適切な担当者が対応してくれる可能性が高まります。
面談では、事業内容について詳細に説明する機会が与えられます。準備した資料を効果的に活用し、事業の実態と将来性をアピールしましょう。質問に対しては正直かつ具体的に答えることが信頼獲得のポイントです。
5-3. 審査期間中の対応
申込み後の審査期間は、通常1週間から1ヶ月程度です。この間に追加資料の提出や補足説明を求められることがあります。迅速かつ誠実な対応を心がけ、金融機関との良好な関係構築に努めましょう。
審査中に事業内容や連絡先に変更があった場合は、速やかに報告することが重要です。透明性の高い対応は、金融機関の信頼を得るために不可欠です。
6. 銀行口座開設に有利なバーチャルオフィスの選び方

バーチャルオフィス選びは、銀行口座開設の成功に直接影響する重要な要素です。すべてのバーチャルオフィスが同じというわけではなく、金融機関から見た信頼度には大きな差があります。
最も重要な要素の一つは、バーチャルオフィスの運営実績と信頼性です。長期間にわたって安定した運営を続けており、多くの企業が利用している実績のあるサービスを選ぶことが推奨されます。
なお、以下のコラムでは、バーチャルオフィスでよくある失敗例を紹介しています。「バーチャルオフィス選びを成功させて、事業を円滑に進めたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
6-1. 立地とアドレスの重要性
バーチャルオフィスの所在地は、企業の信頼度に大きく影響します。一等地のオフィスビル内にあるバーチャルオフィスは、金融機関からの評価が高い傾向があります。特に、東京都心の商業地区や大阪の中心部などの知名度の高いエリアは有利です。
また、住所の表記方法も重要です。「○○ビル○階」のように具体的な建物名と階数が明記されているアドレスのほうが、「○○号室」のような表記よりも信頼度が高いとされています。
6-2. サービス内容の充実度
基本的な住所貸しサービスに加えて、郵便物の転送、電話応対、会議室の利用などの付帯サービスが充実しているバーチャルオフィスを選ぶことをお勧めします。これらのサービスは、事業の実態を示す重要な要素として評価されます。
固定電話がないと不利になる可能性があります。バーチャルオフィスサービスには、住所利用だけでなく固定電話番号やFAX番号が提供されているところもあるので確認しておきましょう。
6-3. 法的コンプライアンスの確保
選択するバーチャルオフィスが、関連法規を遵守して運営されていることを確認しましょう。特に、犯罪収益移転防止法に基づく本人確認や記録保存が適切に行われているかは重要なポイントです。
また、バーチャルオフィス事業者が金融機関との良好な関係を維持しているかも確認しておくべき要素です。過去に問題を起こした事業者のサービスを利用すると、口座開設に悪影響を与える可能性があります。
7. バーチャルオフィスプラン利用時でも銀行口座開設は可能

バーチャルオフィスプランを利用した銀行口座開設は、適切な準備と戦略があれば十分に実現可能です。現在はバーチャルオフィスを利用していることを理由に開設できない銀行は少なくなってきており、しっかりとした準備を行う企業にとっては競合他社との差別化を図る絶好の機会といえます。
一つの金融機関で断られても諦めず、複数の選択肢を検討することで、自社の事業特性に最も適した金融機関を見つけることができるでしょう。
なお、大阪・京都エリアでバーチャルオフィスプランの契約をご検討の方は、コモンルームにぜひご相談ください。持ちビルでの運営で、低価格で「住所利用」+「法人登記」+「郵便物受取」と、3つのサービスがトータルパッケージで利用いただけるのが特徴です。
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