スタッフ

「アートを観る会」と「観察」という行為

2016.12.26 中津

スタッフ・谷口です。
今回はコワーキングスペースにて不定期に開催している「アートを観る会」と「観察」という行為について書いてみます。

「アートを観る会」はなぜ企画をされた?

「観察」という行為について書くその前に…。「アートを観る会」をなぜ企画したのかということに触れたいと思います。元々、私は美術館や地域で開催されるアートプロジェクトを観に行くことが好きだったのですが…。実は「解説」や「イヤホンガイド」を聞きながら作品を観るということは苦手。

理由は二つ。
いつも作品や作家の「情報」を聞くと、作品を見ていないのにもう堪能した気になるから。
作家が誰であろうと、どんな文脈で創られた作品であろうと、今ここにある作品と向き合いたいから。

この二つを大切にしたいと思ったら「解説」や「イヤホンガイド」という手段は私にとってはそぐわないのです。何か違う鑑賞方法がないかな…というときに出会ったのが「対話型鑑賞法」です。中でも私が勉強をしたのは「Visual Thinking Strategy(VTS)」です。

このカリキュラムはニューヨーク近代美術館(MoMA)が開発しました。VTSを学びたい!という形ではなく、どちらかというと一方方向ではない鑑賞法がないかな…と行き着いた先が対話型の鑑賞法で、たまたま検索をかけたらVTSが学べる講座が京都で開催されることになっていたから飛び込んだ、という形です。アートを通じて鑑賞者・学習者の「観察力」「批判的思考力」「コミュニケーション力」を育成することができます。

VTSでは、解説などは一切しません。
「何が見えている?」
「なぜそう思った?」
と、複数人数で深めていくという鑑賞法です。

解説は別に人が集まらなくても同じ情報を得られますが、対話型の鑑賞法は集まる人が変わると見方ががらりと変わります。その部分を共に分かり合いたいと思い企画をしました。

「観察」に隠された可能性

さて、「観察」という行為に話しを戻したいと思います。実は「観る」という行為だけでも各個人違うということが対話型鑑賞法を重ねるうちに分かりました。

例えばこの作品。

建物に注目する人もいれば、空に注目する人も。また左手の川に注目する人もいます。初見で「どこ」が目に入るのかということだけでも顕著に各個人によって違います。そして目に入った対象物が「何に見えるのか」ということも各個人で異なります。それぞれ見てきたもの、経験などが異なるため、なぜそういうふうに見るのかというデータが違うためです。

例えば…。雨が降っていないために「この空は、晴れています」という人も入れば、雲が画面の7割を占めているため「この空は曇っています」いう人もいます。また、作品により受け取る感情も人それぞれ異なります。

「アートを観る会」が5~10分ほど経つと気がつきはじめます。

えっ?!見え方って人によってこんなに違うの…?
何か見え方が変わっていく!面白い!」と。

実は谷口は作品の観察とともに、それぞれの人の発言や感情の揺らぎとともに声のトーン、表情を観察しています。

「なるほど!この人はこういう風に作品を観ているのかな?」
「あっ!ここでこの方の見え方が変わったのかな?」
「何だか…発言が揺らいでいる?」
「声の高さが変わった!」などなど。

声の高さの変化などの事実とともに、それがその人にとってどんなサインなのか…ということを観察します。ちなみに谷口はそこを逃しません(笑)

なぜなら、その人にとって大きな気づきであったり、変化であったりが潜んでいる可能性があるから

ここが私にとって、とっても重要なのです。私にとって変化や気づきを共有できることは、とても嬉しいことなのです。

その人とともに私も新しい世界を共有することができるから。

次回は2/3(金)19:00-20:30より「 ぺちゃくちゃおしゃべりしながらアートを観る会 vol.9 〜節分の夜にじんわりと」を開催します!!
詳細はこちら:https://common-room.jp/news/12573/